黄磁は明代宣徳年間(1426~1435)に生まれ、“皇帝の色“として珍重されました。清代康煕年代(1661~1722)には、その黄釉も様々な釉調となり、初期の“宣黄“に対して、“浅黄“と呼ばれる黄金色と言える作品も誕生しました。耳環、双獣文、袴足と言う、漢代銅器の意匠紋様を踏襲した本作は、その作風を光緒年間(1875~1908)に再現したものです。本来が祭器として作られた物を、斯界先人達が、“見立ての美“で、盆栽界に残したものが、35年前の国風盆栽展に、国風賞真柏の添えに使用され、この作品がこの種の“本歌“とされています。ご紹介する本品は、この本歌よりもひと回り大きく、故人大家の蔵内に長く秘蔵されていたものです。黄磁発色美しく、保存状態も完品と言える美術盆器です。