古渡烏泥撫角長方

現在では、その現物の存在すら皆無に近くなった、盆器最高峰の“古渡烏泥“の逸品です。
中国清代乾隆期に作られた本作は、内包的器形から、同じ烏泥盆器の中でも、数々の名樹に取り合わされた事で有名です。同型の作品に、真柏名樹“昇天の龍“が長く納められて、国風展の写影に残されています。戦火をくぐり抜けた、長年の実用の中で、ホツや線ニュウが確認されますが、現物自体をこうしてご紹介できることが、奇跡に近いものとご理解下さい。もし、無疵で保存されていたなら、とうの昔に大陸へ300~500万で、"里帰り"していた事でしょう。日本製や新渡では表せない土味と重厚な造り、“植えてこその盆器“の考え方こそが、日本盆栽界の姿である事を、本器が物語っています。
近年は、無疵物の古渡鉢の入手が難しく、国風展なども、準備の段階で盆栽園同士で、
“仮植え“の展示会用の“化粧鉢“として、このような鉢は“売らずに貸し出す“事が主流となっています。土・型・時代・古色・“これこそが古渡烏泥“と言える至宝を廉価で所蔵される機会となさって下さい。