
江戸期後期、蝋型鋳銅の名人として一家を成した、名工村田整珉。精緻を極めたその技を受け継いで二代整珉となったのが、整珉の養子であった渡雲です(村田整珉の本名は木村姓)幕末期から明治初期に活躍した渡雲は、初代を凌駕する程の作品を世に遺しました。本作は大書院や大床などに設える、“大香炉“の実用を兼ねた置物として制作されたものと思われます。網代の壁、竹の下地窓、そこには野蔦の絡まる景色まで表現されています。そして鋳銅とは思えない造りの繊細な藁屋根の姿。質素な風の中に、農屋ではない、高雅な“数寄精神“の侘び住まいの味わいが醸し出ています。名工鋳銅の作品としては勿論ですが、盆栽・水石の大床飾りの贅沢な道具立てとして、次代に伝承したい逸品です。
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