唐石　銘「敦煌」

明治の文豪、森鴎外の旧邸「鴎外荘」に長く秘蔵されていた古石です。
鴎外荘から市井に放出の機会を作られたのは、同荘主人一族と交流深かった、日本水石組合理事長であった、故内海二郎氏。内海氏により、数十石の放出後、その存在を明らかにする為、「森鴎外旧邸鴎外荘」の蔵印が各石に押印されました。
本石はその中でも貴重な唐石（中国よりの渡来石）です。
褐色の石肌。丘陵が風砂の力で揺れ動くような景色は、銘に捉えたまさに中国西域シルクロードの要衝、敦煌の風景そのままと言えます。
明治の陸軍軍医長として大陸での時を過ごした文豪、共に日本へ持ち帰ったものか？
大陸との関係深い明治の時代、後に鴎外の下へ贈られたものか？真実は霧の中です。
底部に至るまで、一切の加工なき天然石。
水石界に新たな公開が待たれる逸品の文房石です。